CSテキスト 2年目61週目

旧約聖書シリーズ3

 

「サウル王」

【聖書】

Ⅰサムエル記8章~13章

【聖書の概要】

■王誕生の経緯

イスラエルは周辺の国からたびたび攻撃を受けていましたが、そのたびに士師と呼ばれる神様に選ばれた人によってイスラエルは守られてきました。最後の士師であり祭司であり、預言者であるサムエルの時代も、隣国ペリシテが攻めてきましたが、サムエルは神様に祈りペリシテを征服しました。そしてサムエルが生きている間は、二度とペリシテがイスラエルの領土に入ってくることはありませんでした。

 

サムエルが老人になったとき、イスラエルを治めるために2人の息子を後継者としましたが、この2人は父サムエルのように神様に従うことをせず、悪いことばかりしていました。

イスラエルの人々は、そんな2人を見てサムエルの死後、再びペリシテが攻撃してきても神様が守ってくれないのではないかと不安になり、サムエルの息子ではなく別の指導者として王を立ててくださいと要求しました。

 

サムエルは、それは神様のお心ではないと警告しましたが、イスラエルの人々はどうしても王が必要だと強く要求してきます。しかたなく、サムエルはイスラエルの人々の要求について、神様に祈り、神様から「彼らの言うことを聞き、彼らにひとりの王をたてよ。」とおゆるしをいただきました。そこでサムエルは王様にふさわしい人物を探しに行きます。

 

■初代王の誕生

 ベニヤミン部族で、サウルという人がいました。彼はとてもハンサムな若い男性で、背が高い人でした。ある時、サウルはお父さんのいいつけで、行方不明になった雌ロバを探しに行きました。

何日もかけて山々をめぐり歩きましたが、雌ロバは見つかりません。仕方なく、一緒にいた人達に家に帰ろうというと、「待ってください。近くの町には神の人がいます。そこに行けば、多分私たちのいくべき道を教えてくれるでしょう」と教えてくれました。そこでサウルは神の人のいる町に出かけていきました。神の人とは、預言者サムエルのことでした。

そのころ、サムエルが祈っていると、神様がサムエルに言われました。「明日の今頃、私はひとりの人をベニヤミンの地からあなたのところに遣わす。あなたは彼に油をそそいで、私の民イスラエルの君主とせよ。彼はわたしの民をペリシテ人の手から救うであろう。民の叫びが私にとどいたので、わたしは自分の民を見たからだ」。

翌日、サムエルのところにサウルがやってきたとき、神様はサムエルに告げられました。「ここに、私があなたに話した者がいる。この者がわたしの民を支配するのだ。」。サムエルはサウルに告げました。「もう雌ロバは見つかっています。それよりもイスラエルの人々が望んでいることは何か知っていますか。王を立てることです。そして、それはあなたです」。サウルはびっくりしました「私も、私の家族も、私の部族もイスラエル全体からみたら、一番小さい者です。どうしてそんなことを言われるのですか」

次の日、サムエルはサウルを連れて町外れまで出かけていき、そこでサウルに油を注ぎ、神様の言葉を伝えました。サウルはサムエルと別れて去ったとき、神様がサウルの心を変えて新しくされました。

サムエルはミツパというところで、イスラエルの人たちを呼び集め、王様を決めるためにくじ引きをおこないました。くじはベニヤミン族のサウルがあたりました。サムエルはイスラエルの人たちに言いました「見よ。主がお選びになったこの人を。民のうちだれも、この人に並ぶものはいない。」イスラエルの人々は喜んで、「王様、ばんざい」と叫びました。しかし、サウルが王になることを不満に思う人もいました。

 その後、イスラエルの隣国、アモン人の王、ナハシュが軍勢を引き連れて、イスラエルの部族であるヤベシュ・ギルアデに対して、陣を引きました。ヤベシュの人々はその大軍に恐れおののいて、降伏を申し出ましたが、ナハシュが出してきた降伏の条件はヤベシュの人々の右目をえぐり抜くことでした。

ヤベシュの人々は、救援を求めてイスラエルの他の部族に使者を送りました。サウロがこのことを聞いたとき、神様の霊がサウルの上に激しく下り、怒りが燃え上がりました。そして、サウルの呼びかけに応じた33万人のイスラエルの民が、アモン人と戦い、敵を追い払いました。こうして、イスラエルの人々はサウルが王であることを認め、サウルは正式に王となりました。

 

■王を要求した民に対する警告

サウルが王になった時、サムエルはイスラエルの人々に言いました。「神様はあなたたちの先祖をエジプトから救い出し、この地に住まわせたが、あなた方の先祖は何度も神様を裏切ってきた。あなた方の先祖が悪を行い神様から離れていくと、いつも敵が現れ、あなたがたに戦いを挑んできた。あなたたちは敵に勝つことができなかったが、神様はあなた方をかわいそうに思い、何度もあなた方を助けてきた。その神様があなたたちの王であるのにもかかわらず、あなた方は人間の王を求めた。しかし、恐れてはいけない。主に従い、わきにそれず、心を尽くして主に信頼しなさい」

 

■サウル王のつまづき

サウルがイスラエルの王となってしばらくすると、イスラエルの部隊が隣国ペリシテの小さな部隊を攻撃したので、ペリシテ人の恨みをかってしまいました。ペリシテ人はイスラエルと戦うために戦車3万、騎兵6千、それに海辺の砂のようにたくさんの軍隊が集めました。それでイスラエルの人々は恐れて、ほら穴や岩間、地下室、みずための中に隠れました。サウルはペリシテ人と戦うためにぎるがるという場所にいましたが、サウルに従う軍隊はみな、恐れて震えながらサウルに従っていました。

サウルは、神様に対して全焼のいけにえを捧げて祈ってもらうために、サムエルを7日間待っていましたが、いつまでたってもやってきません。それでイスラエルの人々はサウルから離れて去っていこうとしました。サウル待ちきれなくなり、焦って自分で神様に向かって全焼のいけにえをささげてしまいました。全焼のいけにえは、預言者であり祭司であるサムエルにしか許されていない祈りの方法でした。サウルが全焼のいけにを捧げ終わったちょうどその時、サムエルが到着しました。

サムエルはサウルにむかって言いました「あなたは愚かなことをしたものだ。あなたの神、主が命じた命令を守らなかった。主は今、イスラエルにあなたの王国を永遠に確立されたであろうに。今は、あなたの王国は建たない。主はご自分の心にかなう人を求め、主はその人をご自分の民の君主に任命しておられる。あなたが、主の命じられたことを守らなかったからだ」

 

【聖書の解説】

a. 神はどのようなお方か】

b. 神が何をなしたか】

c. 登場人物と神様との関係】

 

【その他】


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