CSテキスト3年目年9月4週目

聖書知識シリーズ「キリスト教と社会」


「キリスト信仰と社会」



【目的】

キリスト教が世界や、社会に対して及ぼした影響を知ることによって、励ましやビジョンを持つことができるように。


【みことば】

マタイ25:40

『まことに、あなたがたに告げます。あなたがたが、これらのわたしの兄弟たち、しかも最も小さい者たちのひとりにしたのは、わたしにしたのです。』



社会で生活に困っている人を支えて、助ける社会福祉は、現代では大切な働きであり、それは国が行うべき当然のことであると理解されていますが、人類の歴史を見るとそれは当たり前ではありませんでした。聖書のない、真の神様を信じない人間の考えの下では、貧しい人、病気の人は、むしろ軽蔑され社会ののけものとされてきたのです。

そのような人たちに目を向け、助ける働きの中心的な働きをしてきたのは教会であったり、神様を熱心に愛する人たちでした。


1、 孤児院


戦争や、貧困などで親を失った子供たちを引き取って育てる孤児院という場所があります。この孤児院は教会から始まりました。


ジョージ・ミューラーは、その働きを世界的に発展させた一人ですが、大学時代に伝道者として献身した後、孤児院を設立、64年間に1万人を超える孤児を育てました。



2、 社会福祉

古来、戦争、失業なので仕事がなく、収入がなくなってしまい、家を失い、食べるものがなくて死にそうになっても、王や国は逆にそのような人を邪魔者とみなして、強制労働をさせたりする時代が長い間ありました。


そのような人たちを助けたのは、各地の教会や伝道団でした。仕事が無くて家も無いために苦しんでいる人たちを助ける働きを多くのクリスチャンがしました。そのような働きが広がり、最終的に国がそのような役目を果たすような現代の制度にまで発展してきたのです。数えきれない、また知られていない働きがたくさんあるのですが、そのような働きの中から一部を紹介します。



(1)救世軍(The Salvation Army)

ウィリアム・ブースが設立しました。救世軍とは、イエスキリストの救いを伝えると同時に社会で困っている人々に実際的な助けも行う働きで、現在は世界124の国や地域で活躍しています。

ウィリアム・ブースは、15才でクリスチャンになり、20才で献身し伝道を始めました。

1865年に救世軍を創設し、伝道活動と同時に、生活に困った人たちのために宿泊所を建てたり、食事を無料で提供したり、婦人ホームなど社会を助ける働きをしました。

今日そうであるように、女性が泣いている限り、わたしは戦う。

幼い子供が飢えている限り、わたしは戦う。

男たちが刑務所に出入りする限り、わたしは戦う。

酔っぱらいが残っている限り、街頭に哀れな女性がいる限り、

神の光を受けていない一人の魂でもある限り、わたしは戦う。

終わりまで戦う。(ウィリアム・ブース)


(2)隣保館運動(セツルメント)

貧困を解決するために、貧困の居住地に入っていってその場所で共に住み、その教育環境を整えなければならないと考えたスラム街で牧師をしていたサムエル・バーネットの影響を受けた学者であり牧師であるイギリスのアーノルド・トレンビーが提唱した働きです。スラム街に隣保館(セツルメント)と呼ばれる福祉施設を建てようとするもので、最初の隣保館は1884年にスラム街の牧師サムエル・バーネットによって実現しました。この前年にトレンビーは31才の若さで亡くなっています。この最初の隣保館はトレンビー・ホールと名付けられました。

この隣保館運動は、イギリスからアメリカに伝えられ、婦人活動家ジェーン・アダムスによってアメリカ最初の隣保館が建設され、アメリカの社会福祉事業の中心的役割を果たします。この隣保館は「ハル・ハウス」として知られていて、彼女は後にノーベル平和賞を受賞しています。


(3)賀川豊彦

明治時代に活躍した伝道者であり、社会活動家として、日本の歴史の中でも著名な人物です。彼は、中学生の時に宣教師と出会いクリスチャンになりました。21才の時に神戸のスラム街に入り伝道を始めました。自分が結核とう当時死を覚悟する病気でありながら、劣悪な環境のスラム街で伝道と貧困問題に取り組みました。日本の歴史の中で、労働者の権利、農民運動、共同組合運動(現在のコープ)、隣保館運動、などを導き、伝道者としても日本中を巡回しました。



3、 どこから?

多くの福祉の働きは、国が最初から始めたものではありません。ある一人のクリスチャンが神様からの思いを実行したことから広がってきました。その最初は、目の前の困っている人々を助けることから始まっています。また、少し目を遠くに置けば、社会には様々な問題で悩み、苦しんでいる人たちも大勢います。私たちは信仰の先輩たちが行なってきた働きの恩恵を受けています。彼らは、本当の神様と伝えること、イエス様によって罪が許され救われることを熱心に伝えましたが、同時に実際的な助けもして行きました。


私たちはどうでしょうか? 神様の愛を受けて喜んで毎日を過ごしていくと同時に、周りにいる困っているお友達に目を向けてほしいと思います。世界にも目を向けてほしいと思います。そこにもイエス様の思いがあるからです。



ヤコブの手紙2章15節~17節

2:15 もし、兄弟また姉妹のだれかが、着る物がなく、また、毎日の食べ物にもこと欠いているようなときに、2:16 あなたがたのうちだれかが、その人たちに、「安心して行きなさい。暖かになり、十分に食べなさい。」と言っても、もしからだに必要な物を与えないなら、何の役に立つでしょう。2:17 それと同じように、信仰も、もし行ないがなかったなら、それだけでは、死んだものです。


マタイ25:40

『まことに、あなたがたに告げます。あなたがたが、これらのわたしの兄弟たち、しかも最も小さい者たちのひとりにしたのは、わたしにしたのです。』



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